一部で大好評(?)だった零戦の操縦席の写真。左側の写真からは、左右のフット・バーが見られて興味深い。また、空洞になった機銃架が左右共に見え、取り外された機銃が左(7.7o)右(13o)ともにあったことが分かる。(う〜ん、この中でいちばん欲しいのは、操縦桿と水平儀かな。いやいや、燃料切り替えコックなんてのもレアかも。) 右側の写真からは、1グラムでも軽くするために空けられた穴の多さを見ることができる。右上から垂れ下がっている電線は、本体は取り外されているが無線関係だろう。酸素ボンベまであるのには(右下)涙…。また来るからね。
社説
じつは今回の零戦の写真を通じて皆様にお伝えしたいことがあった。考えてみれば、日本陸海軍の戦中の航空機というのは、現在ほとんどが英米のマニア(お金持ち!)や博物館に所有されている。日本に現在あるのは、終戦と同時にすべての航空機は武装解除されて研究資料用に持ち帰られたか焼却処分されたため、すべてが戦後に元戦地やら海底から発見されたもの、または里帰りしたものだ。せっかくフライヤブルな状態で帰国しても、日本人というのはすぐにサビだらけにしてしまう(台場にある海の科学館の二式大艇{世界で唯一の機体}は雨ざらし!)。今回の零戦だって借りに里帰りしたとしたら、さっそく欠損部分の機首、尾部、翼端を作ってくっつけ、塗装をし直してピカピカな状態にしてしまうだろう。ピカピカの再発盤よりボロボロのオリジナル盤が良いというのは私達の常識(?)だが、英米人は古いもの全般に注ぐ愛のスケールが違う。実際、この博物館のもうさすがに動かないであろう数々の展示物の床面には砂箱が置かれ、その車体、機体からはいまだに油が滴り落ちていた。メンテナンスに抜かりが無いことに、感心を通りこしてまさに尊敬の念を抱く。そしてそれは、イギリス人が払う税金で賄われているのだ。どうぞ英米にいらっしゃる、戦中の航空機に愛を持ってくださっている方々、日本の航空機をずっとやさしく扱ってやってください、と切にお願いしたい。米のスミソニアン航空博物館や軍関係の施設には、日本から持ち帰られた際の分解された形のまま梱包された機体がまだ多く眠っていると聞く。いつか私がミリオネアになったら、すべてを復元してやろう。待ってろよー、震電、流星、天山!