THE EXOTICS
「Cross My Heart」


60年代半ばの英国ではジャマイカのスカ音楽はブルービートというジャンル名で盛り上がりつつあったが、その名もBLUE BEATレーベルなどの専門レーベルがジャマイカ産音源を配給していた一方で、ポピュラー系音楽を主としていた国内のメジャーレーベルもスカ音楽風のレコードをリリースしていた。ここで紹介するDECCAレーベルが送り出したEXOTICSなるグループのデビュー盤もそういった類の1つ。パーカッションを入れた軽快なテンポにやや調子がはずれた(?)ハーモニカが乗ったアレンジに丁寧でソウルフルな歌唱が乗ったポップなスカ作品。この素敵な歌唱を聴かせてくれているのはジャマイカ出身、当時も先のBLUE BEATやISLAND等のレーベルでシングルをリリースしていたOWEN GRAYだそうな。そうすると伴奏を担当しているのは英国のセッションマンだろうか?間奏のギターソロもロック的な響きがある。全体的にジャマイカ産のルーディな質感とは違う、どこかスタイリッシュな印象を受ける。ちなみに当時の英国ではスカ音楽はR&Bの新しい流れ的な受け止められ方もされていたようで、90年代後半にリリースされた名コンピレーションCDシリーズ‘DECCA〜SCENE’の1つ、‘DECCA R&B SCENE’には本作が収録されており、そういった当時の状況を考えると納得のいく収録なのかもしれない。


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